月別アーカイブ: 2025年3月

第8回居酒屋雑学講座

皆さんこんにちは!

居酒屋崎じぃ、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~居酒屋の歴史~

 

1. 居酒屋の起源:江戸時代の「居続け酒」


居酒屋という言葉が初めて文献に登場するのは江戸時代中期とされています。当時、酒は「酒屋」で販売されていましたが、本来は持ち帰り(量り売り)が主流で、その場で飲むことは想定されていませんでした。


しかし、ある時期から客が「ちょっとその場で飲ませてくれ」と頼み、酒屋の軒先で酒を飲むようになります。これが「居続け酒(いつづけざけ)」と呼ばれる習慣です。このスタイルが徐々に広まり、やがて「酒屋の中で腰を据えて飲む」ことが定着し、現在の居酒屋の原型となっていきました。


この「居る(その場にとどまる)」という行為と「酒屋」が合わさって「居酒屋」という言葉が誕生したのです。







2. 江戸庶民の社交場としての居酒屋


江戸時代の後期になると、町人文化が発展し、庶民の娯楽や社交の場としての居酒屋の重要性が増していきます。小皿料理とともに燗酒を提供するスタイルが人気となり、職人や商人、旅人たちが立ち寄る憩いの場としてにぎわいを見せました。


この時代の居酒屋には、現在のようなメニューはなく、「煮込み」「焼き物」「漬物」などの簡単な肴(さかな)が主でした。座敷やカウンターといった空間も徐々に整備され、「気軽に一杯」文化が形づくられていきます。







3. 明治〜昭和初期:居酒屋の近代化


明治時代になると、西洋文化の流入とともに、日本の飲酒文化にも変化が現れます。ビールやウイスキーの登場により、飲み物のバリエーションが広がり、居酒屋も和洋折衷のメニューを取り入れるようになっていきました。


また、女性が店主を務める「女将(おかみ)」文化も根付いていき、地域密着型の個人経営居酒屋が増加します。昭和初期になると「赤提灯」と呼ばれる簡易な居酒屋が都市部に広がり、戦後の復興期にはサラリーマン文化とともに、再び居酒屋が市民の憩いの場として脚光を浴びるようになります。







4. 現代の居酒屋:チェーン展開と多様化


1990年代以降、居酒屋業界は大きな変革期を迎えます。「和民」「白木屋」「鳥貴族」などの大手チェーンが全国展開し、低価格・均一料金・メニューの多様化により、若者や女性客も取り込む形で大衆居酒屋文化が成熟していきました。


一方で、個人経営の「こだわり系」居酒屋や、昭和レトロを再現した空間演出を行う店舗なども人気を集め、「懐かしさ」と「新しさ」が共存する形で現代の居酒屋文化は進化しています。


さらに、2020年以降の新型コロナウイルスの影響で「オンライン居酒屋」「個室型」や「テイクアウト居酒屋」といった新たなスタイルも生まれ、時代に即した柔軟な形で変化を続けています。







5. 居酒屋が映し出す日本人の心


居酒屋は、単なる飲食の場ではなく、日本人の「間(ま)」や「和(わ)」の文化、集団とのつながり、語らい、息抜きといった精神性が反映された空間です。ときに店主との会話に癒され、ときに見知らぬ隣人との出会いが心を温める――そんな居酒屋の在り方は、日本社会における人と人との距離感を象徴しています。







結びに:変わり続けるけど、変わらない場所


どれだけ時代が変わっても、人々が一杯の酒を酌み交わし、心の距離を縮める居酒屋という場の本質は変わりません。これからも、居酒屋は日本人の心を映す鏡として、文化とともに歩み続けることでしょう。


 

第7回居酒屋雑学講座

皆さんこんにちは!

居酒屋崎じぃ、更新担当の中西です。

 

~水商売の由来~

ということで、なぜ「水」という言葉が使われているのか?その歴史的背景や、言葉の変遷について詳しく解説していきます♪

 

「水商売(みずしょうばい)」という言葉は、日本の社会で広く使われています。キャバクラやホストクラブ、バー、スナックといったナイトビジネスを指す言葉として定着していますが、その名前の由来を深く知っている人は意外と少ないかもしれません。







「水商売」という言葉の由来とは?


「水商売」という言葉の起源には諸説ありますが、主に以下のような説が有力とされています。



① 「水のように流動的な商売」説


江戸時代から明治時代にかけて、「水のように一定しない商売」として「水商売」という言葉が使われるようになったという説があります。




  • 客の気分や景気によって売上が大きく変わる

  • 一時的に繁盛しても、すぐに衰退することがある

  • 店や従業員の入れ替わりが激しい


こうした不安定な性質を持つ商売であるため、「水のように形を変え、流れていく」ことから「水商売」と呼ばれるようになったと言われています。



② 「水を扱う仕事」説


もう一つの説は、単純に「水を扱う仕事」が語源だというものです。居酒屋や料亭、茶屋など、客に飲み物を提供する仕事は古くからあり、これらは水や酒を商う仕事だったため、「水商売」と呼ばれるようになったと言われています。


特に、江戸時代には水茶屋(みずちゃや)という商売がありました。水茶屋は、旅人や庶民に水やお茶を提供する場でしたが、次第に女性が接客する形の店も増え、現在の「水商売」の原型になったと考えられます。



③ 明治時代の作家・井上青海による命名説


明治時代の作家であり評論家の 井上青海(いのうえ せいかい) が「水商売」という言葉を使い始めたという説もあります。


彼は明治時代の商売を以下の3種類に分けました。




  1. 堅実商売(農業・製造業など、長期的に安定する仕事)

  2. 不安定商売(株取引・ギャンブルなど、浮き沈みが激しい仕事)

  3. 水商売(劇場・飲食業など、人気や景気によって大きく左右される仕事)


彼がこの「水商売」という言葉を用いたことで一般的になったと言われています。特に、飲食業や芸妓、遊女といった職業は景気の影響を受けやすく、「水のように形を変える仕事」として「水商売」と呼ばれるようになったと考えられます。







水商売の歴史と発展


江戸時代:茶屋・遊郭の時代


江戸時代には、すでに現在の水商売の原型がありました。特に「茶屋」や「遊郭(ゆうかく)」がその代表です。




  • 茶屋 … 女性が接客をする場で、単なるお茶を飲む場所以上の社交場だった。

  • 遊郭 … 遊女(ゆうじょ)が客をもてなし、豪華な宴が開かれた。


江戸時代の吉原遊郭などは、水商売のルーツといえるでしょう。



明治・大正時代:カフェーの登場


明治時代になると、文明開化とともに西洋文化が流入し、「カフェー」と呼ばれる洋風の店が登場しました。女性が給仕をする「カフェー」は、現代のキャバクラに近い形態を持っていました。



昭和時代:クラブ・キャバレーの流行


戦後になると、日本経済が発展し、クラブやキャバレーが流行しました。高度経済成長期には、銀座や六本木などで豪華なナイトクラブが次々と誕生し、水商売は「一流の社交場」としての地位を確立しました。



平成・令和時代:多様化する水商売


平成以降、水商売はさらに多様化し、キャバクラ、ガールズバー、ホストクラブ、コンカフェ(コンセプトカフェ)などが登場しました。現在では、SNSを活用した営業や、ライブ配信での接客など、新しい形の水商売も生まれています。







「水商売」のイメージの変遷


かつては「不安定な商売」「一攫千金を狙う職業」として見られがちだった水商売ですが、近年では「接客のプロフェッショナル」としての評価も高まっています。特にホステスやホストの世界では、会話術や人間心理の理解が求められ、ビジネススキルとしても応用できる要素が多いのです。


また、ナイトワークに対する偏見も減少し、働き方の一つとして受け入れられる傾向にあります。しかし、一方でトラブルやリスクも伴うため、適切な知識と心構えが必要です。







まとめ:水商売の名前の由来とその意味


「水商売」という言葉は、




  • 水のように流動的な商売だから

  • 水を扱う仕事だったから

  • 明治時代の評論家・井上青海が分類したから


という複数の説があります。


そして、その歴史を辿ると、江戸時代の茶屋や遊郭から、現代のキャバクラやホストクラブまで、日本の社交文化の一端を担ってきたことがわかります。


今後も時代とともに変化しながら、新しい形の水商売が生まれていくことでしょう。あなたがもし水商売に興味を持っているなら、その歴史や背景を理解した上で、賢く活用することが大切です。