居酒屋崎じぃ、更新担当の中西です。
さて今回は
~カスタマーハラスメント~
ということで、飲食店におけるカスハラの具体例とその背景、現場での適切な対応方法、そして法的な支えについて深く掘り下げて解説します。
「お客様は神様」とされてきた接客文化。しかし近年、この言葉を盾に不当な要求や暴言を行う顧客=カスタマーハラスメント(カスハラ)が増加し、飲食業界では深刻な問題となっています。スタッフの離職原因にもなり、店舗の持続可能性を脅かしかねません。
1. カスタマーハラスメントとは?
定義(厚生労働省ガイドラインより)
「顧客等からの著しい迷惑行為で、従業員の就業環境を悪化させる行為」
飲食店でよく見られる事例
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土下座要求、怒鳴りつけ、人格否定
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商品をわざと汚し「無料にしろ」と迫る
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混雑やミスを理由に執拗なクレームを繰り返す
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女性スタッフへのセクハラ、SNS晒し
2. カスハラがもたらす影響
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スタッフの心身疲弊・離職(特に新人や若手が多い)
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接客の質の低下(萎縮・過剰防衛)
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職場の雰囲気悪化(助け合いが減る)
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風評リスク(SNSなどでの店側の一方的な評価)
3. 背景にある要因
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SNS時代の「炎上脅し」文化
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少子高齢化によるサービス人材の余裕減
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過剰な“お客様第一主義”の名残
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コロナ禍による顧客側のストレス・余裕のなさ
4. 店舗でできる対応策
(1)対応マニュアルの整備
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クレーム対応の手順化(第一報→上司対応→記録)
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感情に巻き込まれない対応言葉例を準備
(2)「毅然とした接客」の教育
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「申し訳ありません」ではなく「お応えできかねます」の訓練
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一線を越えたらマネージャーが即介入
(3)記録・証拠を残す
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会話メモ、録音(適法範囲で)、監視カメラ映像
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トラブル報告書のルール化
(4)店舗掲示・ステッカー活用
「従業員への暴言・暴力・迷惑行為には厳正に対応します」
→ 事前の牽制で“抑止効果”が期待される
5. 法的な対応と企業の責任
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暴言・暴力は刑法上の侮辱罪・暴行罪・脅迫罪に該当する可能性あり
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企業には労働契約法上の「職場環境配慮義務」
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労働基準監督署や弁護士との連携を図る体制構築が重要
6. 顧客満足と従業員保護の両立へ
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「顧客第一」ではなく「正当な顧客と従業員の両方を大切にする」
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接客業の尊厳を守ることが、結果的に顧客満足度を高める
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スタッフが安心して働ける環境が“笑顔の接客”を生む
飲食業におけるカスハラ問題は、現場だけでなく経営全体を揺るがす課題です。しかし「毅然とした対応」「予防策の明文化」「記録と共有」を徹底することで、働く人の誇りと尊厳を守ることができます。